函岳(はこだけ)
美深町と音威子府(おといねっぷ)村、そして旧•歌登町(現•枝幸町)の境界に位置する函岳は標高1,129m。利尻島(と択捉島)を除けば、函岳は日本で最も北にある1000mを超える山です。周囲に比肩される高さの山がまったくないため山頂からの眺望は抜群で、北海道の東西に広がるオホーツク海と日本海の双方を見渡すことができます。まさに360°の大パノラマ。晴れた日に山頂に立てば、その風景の雄大さが胸に迫るはずです。また函岳は、山頂まで車の通行が可能な道が続いているため、登山用具などを準備する必要もありません。美深町と旧•歌登町とを結ぶ、日本で最も長い未舗装のダート道である美深歌登スーパー林道(未舗装区間約35㎞)を経由して、美深町側の入口から函岳山頂までは約27㎞。この深い森の中を縫う林道を満たす独特の詩情も、訪れた人に長く記憶されることになるでしょう。
交通/「青い星通信社」から山頂までは車で約1時間30分(10月下旬から6月中旬までは山頂に続くゲートが閉鎖されます)
松山湿原
「あゝ秘境」という文字が記された石碑がある天竜沼駐車場から、登山道を約30分。標高800mほどの山のいただきに広がっているのが、松山湿原です。山の頂上にあるため、この湿原には川の水が流れ込むということがありません。ある条件下では微生物が活動できないために枯れた植物などが分解されないままに堆積し、それが水の流入ができない高さにまでドーム状に成長する場合があります。これを高層湿原と呼び、松山湿原は日本最北の高層湿原にあたります。この湿原には三つの沼が点在し、それを結ぶように回廊状の木道が造られていますが、山頂に位置するために周囲に視線を遮るものがなく、ただ空と草原だけが広がる中を風雪に白く洗われた木道が延びる風景は、まるで別の惑星を歩いているような、甘美な戦慄を訪れた者にもたらします。風の音だけが響く、そこは静寂の秘境です。
交通/「青い星通信社」から天竜沼駐車場まで車で約1時間、駐車場から登山道を徒歩約30分(10月下旬から6月中旬までは、天竜沼に続く林道のゲートが閉鎖されます)