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書斎

「青い星通信社」を構成する二棟の建物のうち、草原に面した北棟はパブリックスペースにあてられています。訪れたゲストが思い思いに自分たちの時間を楽しむ空間。そこはいわば、心地よい“草原の書斎”です。


古材で造られたエントランスのドアを開くと、そこは壁を書物が埋めるライブラリー。美深町とおぼしき町が描かれた『羊をめぐる冒険』の著者である村上春樹はもちろん、松浦寿輝、奥泉光、多和田葉子、佐藤正午など現代日本文学を代表する小説家の作品が書架に並びます。芸術性の高い絵本やコミック、画集や写真集も揃えられていて、ゲストは何杯でも自由に味わうことができる珈琲のカップを手に書架の前を回遊しながら、落ち着いた時間を過ごすことができます。書棚の中をくり抜いたような窓辺に置かれたソファ。線路が見える窓に面した小部屋のカウンター。思えば、休日にやりたいことなんて珈琲を飲みながら本を読むことぐらいかもしれないな……そんな想いが一度でも胸に浮かんだことがある方にとっては、草原の書斎にはお気に入りの場所になる資質を備えた空間が、必ず潜んでいるはずです。


美深町の風景を撮影した幻想的な写真も飾られたこの北棟は、夕食と朝食の時間にはダイニングへ、そして夜にはバーへと変貌します。書物たちの密やかなささやきが、半世紀以上にわたり建物を支えてきた石壁に反響する空間で、料理を味わい、酒を愉しむ。それはワールズ・エンド(世界の果て)のような草原に建つこのライブラリーでしか体験することのできない時間です。人が旅に出る理由はさまざまですが、物語が生まれる土地である美深町への旅、いわば“ストーリー・ツーリズム”の終着点にある場所で、旅する人は自分だけの物語と出逢うのかもしれません。

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北海道中川郡美深町紋穂内108番地
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