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風景

「青い星通信社」が建つ美深町の草原は、いわば“季節の画布”です。一年の半分に及ぶ雪の時季にはまばゆい純白の雪原となり、残る半年には鮮やかな深緑の草原に。そこは繊細な季節の色彩が描き出される、特別な場所です。


とりわけ風景の純度が高くなるのは、やはり冬でしょう。広大な雪原を満たす静謐の美しさ。もちろんここでは、よく晴れた朝や夕に立ち上る幻想的な霧や、新緑から紅葉へと移ろう樹林など、雪の季節が過ぎた後でも印象的な情景が次々に現れるのですが、「青い星通信社」北棟の前面に広がる草原は、そんな絵画のような自然の色彩を胸に刻むにはうってつけの空間。風景という美術館の中にしつらえられた特等席なのです。“インスタ映え”という言葉がありますが、写真を撮る機会が多い方には、ぜひ一度、立ってみていただきたい草原です。


また、この草原のすぐ脇をJR宗谷本線が走っています。(現在と経路は異なりますが)旭川から稚内までが鉄道で結ばれたのは、山手線が環状運転を始めるより早い1922年(大正11年)。近代日本にとって、国境を接する北の果てまで物資と人を運ぶことがいかに重要視されたかがうかがえる逸話ですが、「青い星通信社」では館内の窓から、そんな歴史を秘めた鉄路を汽笛を鳴らしながら進むディーゼル車の姿を眺めることができます。降雪期には毎日ラッセル車も走ります。本来は大雪に際して臨時に出動するラッセル車が、毎日決まった時間に運行されるのは、日本ではこの宗谷本線だけ。そんな魅力的な風景をちりばめた草原に浮かぶ、小舟のようなささやかなホテル。静かな航海にも似た旅の時間がそこには流れています。

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北海道中川郡美深町紋穂内108番地
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